東宝ファイト!

big-cobra2014-11-03

今年がゴジラ60周年ゆーなら、河津清三郎の「透明人間」だって60周年じゃい!
…まあ、そんなこんなで今日は60年前にちょうど「ゴジラ」が封切りした日。当塾でも何か記念企画やらなアカンなというわけで、よりによって昭和47年頃に大沢商会から発売された「東宝かいじゅう絵本」付属の8mmフィルムをレビュー。
塾長が小さい頃、どこの誰くんだか忘れたが友達の家に遊びに行った時に「怪獣オリンピック」なる8mmを見せてもらった事があった。中身は何てことない「怪獣総進撃」のダイジェストだったわけだが、このフィルムがどういった企画・経緯で発売された商品なのか全く分からないままイイ年になり、果たしてあれは幼き日の幻だったのかと思う時さえあった。
ところが近年になって数々の東宝特撮映画がDVD化された際、この「怪獣オリンピック」や同シリーズのフィルムが映像特典として収録され、あれはやはり幻ではなかった!と歓喜に満ち溢れたのは言うまでもない。
全10巻からなる「東宝かいじゅう絵本」は全てに4分強ほどの8mmフィルムと、それの音声部分となるソノシートが付属しており定価は6900円。当時の子供向け商品としてはなかなかバブリーなお値段!アイツ結構な金持ちだったのか…w
さて、その8mmフィルムは過去の東宝特撮映画を再編集して、ソノシートで新たにナレーションなどの音声を加えており、4分強という短時間にまとめなければいけない都合上、大胆な設定改変もしばしば行われるなど、小品ながら特撮ヲタク的に大変興味深いシロモノ。言ってみれば「東宝ファイト・抜き焼き編」であるw
クレジットは無いが、ナレーションには明らかに市川治さんや八代駿さんが担当されており、その他にもテアトルエコーの声優さんが多数参加されていると思われる。

「マッハ怪獣ラドン
昭和31年公開の「空の大怪獣ラドン」を再編集したもので、メガヌロンの出現、ラドンの孵化とメガヌロンの捕食、その光景に記憶が飛ぶくらい驚く佐原健二w、ラドンとセイバー機の空中戦、西海橋破壊から福岡襲撃、そして阿蘇山での伝説のラストに至るまで本作の名場面を無駄なく詰め込んだダイジェストのお手本のような仕上がり。まだビデオの普及していない当時ならば家宝モノの一本と言えるだろう。

モスラ アタック東京!」
こちらは昭和36年公開の「モスラ」を再編集したもので、やはり本作の巧みなダイジェスト。ただ飽くまでストーリーは「人間が小美人をさらったのでモスラがやってきた」だけの話なので「スッポンの善ちゃんvsネルソン」の構図は当然オミット。ならばせめて、ラドンの佐原さんみたいに「モスラに驚いて大福を喉につまらせる広瀬正一」のカットは欲しかったところか。
ちなみにナレーションでは小美人を「小人ちゃん」と呼称している。やはり子供向け媒体にブン屋的表現は相応しくないか?w

「怪獣ジャイアントサンダ」
昭和41年公開の「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」の再編集だが、暴れ回るガイラに対抗するため子供のサンダに食べ物を与えて成長させるというオリジナルの展開になっている。
当時の子供たちに超ド級のトラウマを与えたガイラの人食いシーンはカットされているが、絶対にガイラしか当てない驚異的な命中精度を誇るメーサー車の活躍は堪能出来るw
善対悪の図式を強調するためか最後は相討ちとならず、あの見るからに痛そうなサンダの「タンカー垂直落とし」でガイラを倒してハッピーエンド。

「怪獣No.1ゴジラ
昭和41年の「南海の大決闘」、42年の「ゴジラの息子」そして44年の「オール怪獣大進撃」の3作品を一気に詰め込んだ豪華版。
ストーリーも当然オリジナルで、ある島に一匹で住んでいたゴジラが騒がしい隣の島に乗り込んで、エビラ、カマキラス、クモンガそしてガバラを百人組手の如く連チャンでしばきたおすというもの。相手が変わるたびにゴジラの顔も変わっていくのさえ気にしなければ充分楽しめますw
最後の挑戦者として名乗りを上げたもののあっさり捻り潰され「やっぱり俺は二流の怪獣よ」と去っていくガバラを尻目に「やっぱりゴジラは怪獣No.1ですね!」というナレーションで締めるのだが、その時のゴジラのカットが「南海」からの若大将ポーズなのが余裕綽々の怪獣王という感じでイカすぜ!

「巨竜マンダ」
昭和38年公開の「海底軍艦」をベースに43年の「怪獣総進撃」も織り交ぜた、タイトル通りのマンダスペシャルだが、周知の通り両作品では姿形が余りにも違うのでやはりチグハグ。ムーの潜水艦と一緒に自らも進撃するなどやたらアグレッシブな守護神サマだが、東京に上陸した時にはヒゲもツノも綺麗さっぱり無くなっとる。ここに来るまでに何があった?!もちろん轟天号との決戦シーンでは元通りに。
ちなみにモノレールに巻き付いた時はまるでキングギドラみたいな引力光線吐きまくってますw
とりあえず本作で分かった事は、8mmの粗い画質でも小林哲子の美貌はいささかも衰えないという事だ!

「宇宙怪獣キングギドラ
昭和39年公開の「三大怪獣地球最大の決戦」を再編集したもので、大筋は本編通りだが細部が随所で異なる。小泉博の見守る中、隕石より出現したキングギドラの都市破壊シーンの後、青空千夜一夜師匠に連れられた子供たちの「モスラを呼んで下さい」の声に応えた小美人がモスラを呼び、さらにモスラゴジララドンを緊急招集、ゴネることなくチョー巻き気味で一致団結しキングギドラを追い払う。
あの説得シーンだけでも一本作れるくらい面白いのにな〜w

ゴジラ宇宙へ行く!」
タイトルからもお察しのように昭和40年公開の「怪獣大戦争」前半のヤマ場を再編集、明らかに腹黒そうなX星人ゴジララドンのレンタルを申し入れるところから始まる。
伝説のシェーが「やったー!」とアテレコされてるのはまあいいとして、驚愕すべきはラストでゴジララドンキングギドラを撃退した後のX星人のセリフ「諸君、アリガトウ」…。何と彼らは下心ゼロの、キングギドラにガチで苦しめられてる気の毒な人々だったのだ!w

「オール怪獣集合せよ!」
怪獣総進撃」から、怪獣ランドで暮らす怪獣たちのシーンと怪獣たちがキラアク星人に操られて世界各地を破壊するシーンを再編集したものだが、これも大胆な改変アリ。
怪獣ランドをより分かりやすく怪獣動物園と呼称しているのは良いのだが、何と人間側の管理の不手際で怪獣たちが脱走したかのような展開になっているのだ!キラアクのキの字も出てきません。
ラストは廃墟と化した東京をナメながら「皆さん、怪獣を飼うなんてバカな事を考えるのはやめましょう」というナレーション…スゲえ!「怪獣総進撃」の世界観を全否定w

「ジャンボ怪獣島」
昭和45年公開の「決戦!南海の大怪獣」の再編集で本編同様ヘリオス7号の打ち上げシーンから始まるが、宇宙生物が憑依する描写やナレーションによる説明が無いため、怪獣とは全く無関係みたいな感じになっている。さらに本編では主人公たちは開発会社の調査チームとして上陸したが、ここでは単にレジャーで遊びに来た若者たちになっており、ラストは「レジャーの行き先には気を付けましょう」というナレーションが…どんなメッセージだよ。
そしてもうひとつ、佐原健二は最後まで生きてますw

「怪獣オリンピック」
怪獣総進撃」クライマックスのキングギドラリンチのくだりを再編集。本編ではキラアク星人の基地を怪獣軍団が総攻撃をかけるという燃えるシーンだが、ここでは呑気に怪獣オリンピックを開催しましょーという設定。恐らく大会規定では飛び入り又は宇宙怪獣の参加は認められていないのか、突然現れたキングギドラゴジラ達にボッコボコにされるカワイソウ感は本編の3割増し!w
ラストには「蛍の光」が流れ、荘厳なフィナーレをムリヤリ演出。
あと「怪獣No.1ゴジラ」もそうなんだが、このシリーズではことごとくミニラがガン無視されてるのが気になります。ちょいちょい見切れてはいるんだけど全く触れてもらえないという…。