嗚呼、素晴らしき哉70年代

big-cobra2014-05-28

少し前にフラリと本屋を覗いたら、何と「帰ってきたウルトラマン」第3クールより参加し、その後「ミラーマン」「ジャンボーグA」「緊急指令10-4・10-10」など70年代の第2次怪獣ブームを支えたアートクリエイター米谷佳晃氏のデザインワークを纏めた「華麗なる円谷特撮デザインの世界」が発売されてたので光の早さでゲット!
怪獣デザインといえば成田亨池谷仙克ばかり語られてきたが、いよいよ米谷氏の仕事が再評価される時代が来たんだなあ…とシミジミ。アンタ生きてる内に、ダーリングウツボやアマゾンの吸血鬼のデザインがカラーで見れる日が来るなんて想像出来ましたかっ?!
貴重なデザインの数々もさることながら、驚かされるのは米谷氏の記憶力。一つのデザインに対しての詳細すぎる解説、そして当時の克明な製作状況の回想は特撮考古学の見地からみても大変な資料である事は疑う余地なし。

造形物の画像と共に見どころを紹介…というわけで米谷怪獣第1号の、おなじみグロンケン。
メジャー選手だけあって既に様々な書籍でデザイン画が掲載されているが、グロンケンにはもう一つボツ画が存在していたらしい。残念ながら現存していないようだが、それがチラリと写っている当時のスナップ写真が掲載されています!

塾長が思う歴代最強のウルトラ怪獣にして、稀代の名優・岸田森の独特すぎる発想とセンスの結晶…人知を超えた「生ける光」プリズ魔。
米谷氏は比較的怪獣っぽい初稿を描かれており、それはそれでカッコいいのだがやはりプリズ魔は完成作品のようなオブジェ風のデザインで正解だったように思う。

双葉社の「ミラーマン大全」では、富士銀行がノベルティグッズとして作成したミラーマンのコインブックにドドンゴタイプの着ぐるみとして描かれていたタイガンのデザイン画を見る事が出来たが、それを本書では原画でクリアに見られますぜ!

石田信之のゲスト出演に伴うナオキ更迭の危機、隊長の殉職、そして敵幹部の交代という息詰まるイベントてんこ盛りだった「ジャンボーグA」の大阪編だが、肝心の登場二大怪獣の造形はイマイチ…。
とりわけデッドファイヤーなんてデザイン段階ではさぞかしカッコよかったんだろーな〜なんて思ってたら、やっぱり米谷氏のデザインはメチャクチャカッコよかったっす!二次元のデザインと三次元の造形、どちらも高水準でないと優れたキャラクターは生まれないってコトですねえ。

どれがどれというのもヤボだが、「ジャンボーグA」の登場怪獣には過去の名作ウルトラ怪獣のオマージュが多数存在している。
デザイン段階のみとはいえ、まさかゴールドドラゴンもそうだったとは…
コイツの元ネタが何だったのかは本を読んでのお楽しみ!…名前でだいたい想像つくけどねw

予算の都合上、以前使用した怪獣の着ぐるみを流用・改造して新キャラに仕立て上げるのは良くある事だが、それすらも出来ないほど逼迫していたという「ジャンボーグA」末期。
第49話に登場予定だった時喰怪ロボット(じくうかいロボット…なんちゅう別名!)タイムコングは「ファイヤーマン」のバランダーV(池谷デザイン)の改造を前提としてデザインされたが、予算が無いため画像のようなヘンテコ極まる時計台マシンに変更されてしまった。
で、今回掲載されたタイムコングのデザイン画を初めて見たら、ホンのちょっとの改造で済むじゃん!て感じ。これくらいの改造も出来ないほど台所事情がヤバかったんかいな…つーかコレよりも安く上げられるヘンテコマシンのコストパフォーマンス恐るべしw