そして伝説へ

まあポーゴとアロマの罰が当たったわけでもないだろうが、その夜イヤな夢を見た。
俺が車で直線道路を走っていると、反対車線に二人の血だらけの男性が倒れているのを発見。
生死は不明だが「うわっ!」と思いつつもそのまま走っていると、数百メートル先に救急車と何かを探してウロウロしている救急隊員がいた。
ハハンと思い車を止め窓を開けて「あっちに二人倒れてるよ!」と教えると「分かりました、どうも!」と急いで走っていったところで目が覚めた。
イヤな夢だなあ…と思い一回起きようとしたが体が全く動かない。
いわゆる金縛りというのは動かないだけならそのまま寝ちまえばいいのだが、プラスアルファ的な現象が起こるとおっかない。
視界の左の方に、白い女の人のようなものがスッと通った気がした。
全身の毛がゾワワワッと一斉に逆立った。もはや痺れのような痛みを伴っていた。
俺はどちらかといえばそういうのは信じる方だが、ビビリのせいもあり自分が体験した事は夢か幻覚だと済ませる事が多い。
しかし俺は確かにその時、か細い女性の、こちらを呼ぶ声を聞いた。
こ、恐っ!
確かに恐ろしかったが、俺はそれ以上にムカついた。
「何でももちと握手した楽しい一日の終わりに、こんな目に遭わなきゃいけないんだ?!」
気晴らしに、無性に写真集が見たくなった。だが体は動かない。
つーか世界広しといえども、金縛りの最中にアイドルの写真集を見たがる奴なんて俺くらいだろう。
幸い今は何も怪しい物は見えないし声もしない。
今だ、気合い一閃飛び起きろ!
「ももちいいいいいいい!!!」
…体が自由に動く。回りには何もない。声も聞こえない。
ハロプロへの煩悩が、超常現象に打ち勝った瞬間だった。
ありがとう、ももち!
俺は汗だくで時計を見た。
…午前1時54分。
おいおい、そこは2時ジャストだろー!怪談らしくシメさせろや!!