第4回・スペクトルマン#1

big-cobra2011-07-20

「全怪獣怪人大百科」って、一部の作品についてはボツキャラまで載ってんのな。「サンダーマスク」のバンボス、バイブロンにグリーダー、「レッドバロン」のカリブスターやアフロキング等々。
現行版のようにマニアックな解説が無い頃は、たまたま写真が無いだけで普通に本編に出てきたものだと当たり前のように思っていた(本編に出てるものでも何故かイラストやデザイン画で載ってるパターンがザラにあったしね)。
というわけで「全怪獣怪人大百科」に載っていない他作品のボツキャラも取り上げていくのもこの企画の使命ではないかと言うことで、今回はスペクトルマン編をお送りします。ウルトラ?ありゃあ時間かかるわあ…もうちょい後!
ちなみに、ここで取り上げるボツキャラの条件は「デザインなり造形物なり、カタチがあるもの」に限らせていただきます。

バルゴドン
塾長が一番好きな「スペクトルマン」怪獣は実はモッグスであるというのは有名な話だが(どこでだ)、そんなモッグス同様元々は「豹マン」のアトラク用怪獣。
アトラク用だけあって、同期のゼロン(マンドー)、ミドロン(グレートマグモン)に比べるとやはり格落ちの感は否めない。

しかし!のちに大改造を施され、クルマニクラスも思わず見とれる大怪獣バロンザウルスに生まれ変わって本編に登場!
本編にそのまま出れたのはいいが結局は怪獣Xやデサイトマンのジョバーに過ぎず、三流レスラーで終わってしまったモッグスとは違い、バルゴドンはプロモーターの目に止まり派手なキャラ付けをされて見事一流レスラーの仲間入りを果たしたのだった。

化石怪獣ガレロン
第9〜10話に予定されていたボツ脚本「コンビナート破壊計画」に登場。
ゴリと同じE惑星出身の宇宙怪獣。化石の状態で地球に送り込まれ、有機水銀を含んだ工業排水を浴びて生きた怪獣に復元する。
画像の右は一峰大二先生の漫画版だが、このガレロンという奴はボツ怪獣のくせに漫画に登場しただけでなく、青島科学からプラモまで発売されていたというメジャーな存在だった。ガキの頃プラモ屋でこれを見かけた時は戸惑ったぜ!ガマロンやワニゴンの類にしてはちゃんと銘柄がスペクトルマンだしさー…w

第4回・スペクトルマン#2

お次はボツネタではなく、いわゆるスピンオフ。「探偵物語」第9話「惑星から来た少年」でのスペクトルマン
もちろん作中のスペクトルマンは実在するヒーローではなく、いわゆる「劇中劇」であり、本編では麻薬密輸に絡んだ誘拐事件の為のマクガフィンに過ぎない。
しかし塾長のような特撮ヲタ的には気になるポイントが山程あるので、敢えてこの劇中番組のみに注目したいと思います。まあ塾長も優作に関しては一家言持ってはいるが、そのあたりはもっと詳しくて愛のある人に任せますw

地球から百万光年離れたアンドロメダ王女の国に、それを手にした者だけが銀河系を支配出来るという宇宙に一つしかない宝石で作られた「パンドラの箱」を狙ってバラモン星人が襲来した。
王女は箱を持って地球へと逃れるが、バラモン星人も地球人に化けて追ってきた…。

…というのが工藤ちゃんがいる世界での「スペクトルマン」の大筋。
王女様やらアイテム争奪やら、公害うんぬんとは無縁の王道アクションファンタジー!オリジナルのスペクトルマンとのギャップの激しさが逆に微笑ましい。

スペクトルマン・マーチ」をバックにスペクトルマン登場!
ここでのスペクトルマンがどういう存在なのかは特に語られてはいない。魔神バンダーのように王女を守る為だけの存在なのか、アンドロメダに味方したネビュラから派遣されたのか?
マスクは本物かアトラク用かは判別しかねるが、不格好なまでにボリュームのあるスーツは明らかに別物。上下一式アトラク用とみていいだろう。
ちなみにオリジナルでは原則的に巨大ヒーローだったが、ここでは仮面ライダーのような等身大ヒーローのようだ。じゃなおさらスーツはスリムな方がいいよな。

バラモン星人の人間体リーダーは希木樹林!素顔なのに宇宙猿人ゴリを凌ぐインパクトのある悪役を演じられるのは彼女しかいないw
名優・岸田森を前夫に持つ彼女だが、六月劇場の主要メンバーとしては珍しく特撮ものへの出演がなかったのは残念。

バラモン星人の本体がこいつだ!
鳥類と哺乳類と爬虫類の合いの子で宇宙の暗殺者だとか…よく分からんがなんか凄そうだ!
頭部が「鉄人タイガーセブン」の飛竜原人、ボディが「快傑ライオン丸」の分身魔王デボノバの流用…特撮ものではありがちのチープな合わせ技だけど、元が高山造形だけあってなかなか迫力のある悪役の風格が漂ってるよな。


ちなみに元ネタはこちら。

そして撮影所の倉庫には、マニアックなお宝の数々が!
画面左端、上下に二つ並んでいる面が「風雲ライオン丸」の雑兵・地虫忍者。
その右隣が多分、同じく「風雲ライオン丸」の怪人カズラー。
少年の後姿を挟んでさらに右に見えるのは「鉄人タイガーセブン」の地震原人。
円谷ではよく見かけるこういった倉庫風景も、ピープロ関係だと貴重だ。


元ネタはこちら。


しかしなぜ東映の作品でピープロ作品が起用されたのかは不明。東映なんてヒーローには事欠かないのにな。
探偵物語」はスタッフ・キャスト共に、優作にとって心安い人ばかりが集まった「優作ファミリー製作作品」みたいなもんだし、スペクトルマンの中に入っていた上西弘次とも親しかったらしいので、そちらのコネではないかと塾長は勝手に思っているのだが…。
東映側も、当時既に自社製作を行っていなかったピープロは円谷のようにリアルな商売敵ではなくなっていたのでOKを出したというところかもしれない。
西部警察」に「スペクトルマン」のBGMが頻繁に流用されているという有名な謎もあるけど、意外とそんな単純な理由かもしれないよね。


この記事は第2病棟時代の再録ですが、ちょうどスペクトルマン成川哲夫氏、そして「突撃!ヒューマン」の夏夕介氏の訃報が立て続けにあった頃でした。
この何の接点もなさそうな両作品を繋ぐのが、実はヒューマンのオーディションを受けたことがある松田優作というのも不思議な縁です…。